末野興産その6

このように、「見せ金」による会社設立という容疑で逮捕、これを4回繰り返し、その間に本丸に攻め込んだようで、次から次へとダミー会社による仮装譲渡が明るみにでてきました。

 

 

大阪地検特捜部は、ダミー会社に不動産を転売した「強制執行妨害容疑」で再逮捕。
住専の金は返さない他、数々の脱法行為も明るみになってきました。

 

 

その一つに、従業員の給与を全て明細書なしに支払い、源泉徴収をしなかったとして「所得税法違反」や「労働基準法違反」などの件で大阪府警、大阪国税局、大阪労働基準局が事情聴取をはじめました。

 

 

また、大阪市内に180棟あったとされるビルの多くが「建築基準法違反」で税金滞納、水道料金滞納という事も分かってきたのです。
区役所が困り果てていたのを担当部局の市財政局もそれを知っていたのに、法人市民税の課税対象外にして、長年放置されていました。

 

 

 

 

そして、水道料金だけではなくその他にもライフラインの滞納は、数千万円にも達していました。

 

 

「関西電力」・「大阪ガス」・「大阪市」を交えた三者協議もあったのですが、三者とも、滞納したからといってそのサービスを停止することができない深い闇の世界を突き付けられたのです。

 

 

では、なぜこんな無法がまかり通ってしまったのでしょう?
ここに一枚のレポートがあります。
当時、滞納しがちだったライフラインに対し供給停止を含めた話し合いの場での大阪ガス・関西電力・大阪市と、末野社長と副社長との手書きの面談記録です。

 

 

面談しながら書いたのか誤字が散見されるその記録には「灰皿を投げつけた」「対抗策で倒産さす」「色んな人が入居している」「停止するなら停止せよ、入居者は納得しない・・・」「この人たちは陳情に行くだろう・・先生や同和の人を連れていくぞ。これに対応するには大変だ。先生に対してそれ相応の人が対応するだろう」「結局開栓せざるを得ない」「俺も上田先生や同和関係を船頭(先導?)して各社に乗込む。場合によっては動員(同和)して玄関先でアジを行う」「1000人程度はすぐ動員できる」※原文まま

 

 

などと書かれていました。

 

 

ここでいう「先生」とは元衆議院議員の故「上田卓三」氏の事を指します。

 

 

ウィキペディア⇒上田卓三

 

 

 

 

この時点で既に滞納額は2千万円に達していましたが結局、水道をはじめ、ライフラインの停止は行われずそのまま滞納額が膨れ上がりながら時だけがが経過していくことになりました。
NHKの人気番組だった「その時歴史は動いた」風に表現すれば・・・

 

 

「バブル崩壊の6年前のことでした」

<つづく>

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末野興産その7

末野興産その5

 

続いて、大阪地検特捜部と大阪国税局は、貸し手である住専にも強制捜査に入りました。

 

 

 

 

住専とは、「日本住宅金融」「住総」「総合住金」「日本ハウジングローン」「地銀生保住宅ローン」の5社を指します。

 

 

その中でも「住総」は当時の山口組宅見組系樋口組が事務所として入居して4年も経過している大阪市中央区「高津メゾンエルム天翔」を担保に20億円を融資、他にも、当時の酒梅組谷口正雄組長が実質経営する「大新土木建設」所有の東心斎橋2丁目の土地を担保に12億円を融資していたことが問題視されました。

 

 

この土地は、ミナミの繁華街のど真ん中にあり末野興産が経営する「八幡筋モータープール」と一体になっていて、監視カメラ、投光器、弾除けの鉄板に囲まれた酒梅組本部事務所となっていました。

 

 

その他にも、内規では「風俗営業に融資はしない」と定められていたにもかかわらず、子会社の「ワールドエステート」が大阪市のラブホテルを取得するにあたって53億円を融資、ほぼ全額が焦げ付き、その他にも、パチンコ店の融資の付け替え、賃借権の仮登記を設定したりと競売にかけるのも難しく担保価値を奪われた恰好になっていました。

 

 

 

 

住専の一社、「日本ハウジングローン」は大和工商リース(現大和ハウスの子会社大和リース)の紹介で取引を始めました。

 

 

同社は大阪市淀川区の山口組系石原総業が入居している「新大阪天祥ハイツ」を担保に200億を融資。

 

 

その他にも処分が進まず、焦げ付いた物件を自社のペーパーカンパニーに買い取らせる形で不良債権の表面化を先送りしていました。

 

 

「地銀生保住宅ローン」は筆頭株主が「日本生命」で末野興産のグループ会社名義で約20億円の一括払いの生命保険に加入。

 

 

これは当時流行った財テク商品のひとつで末野興産幹部の親族が高い利息を受け取れる仕組みとなっていました。

 

 

 

大阪地検特捜部と大阪国税局の強制捜査の時点では「これは解明するまで、相当の時間がかかるだろう」と言われていましたが、事態は急展開することになります。

 

 

ちょうど、クリントン米大統領が来日していた時期で、NHKは特集番組を組んでいて、速報として「末野社長事情聴取で吹田区検」とテロップが流れ、中継映像も流れました。

 

 

 

その翌朝、「公正証書原本不実記載」「同行使」の疑いで逮捕されることになったのです。

 

 

直接の容疑は、「見せ金」で会社を登記した・・

 

 

という虚偽の法人登記で、資本金を信用金庫からの借入金をあてて、すぐに引き出した、というものでした。

 

「そんなことで・・」

 

と皆が思いましたが、大阪府警は末野社長がパスポートを作って受け取ったとの情報をキャッチし、「海外逃亡」の恐れがあったとの事でした。

<つづく>

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末野興産その7

末野興産その4

その翌々日の2月25日、
衆院予算委員会で参考人質疑が行われ
ブラウン管の前に姿を見せた末野社長は

 

 

「グループ会社には一切売却していない」

 

 

と否定、木津信に関しては、記者会見での説明とは
違った内容になっていました。

 

木津信用組合との関係は同組合が破たんする直前も

大阪府吹田市津雲台の高級住宅街456平方メートル
の土地を

 

末野社長の長女が代表を務める
「南千里開発」が購入。

 

そのとき資金を貸し出し、2億円の根抵当権を設定。

 

そして、長男が役員を務めるパチンコ店経営の
「日新観光」に転売されたのですが、

その時、2億円の根抵当権が外されていました。

 

その時期は、ちょうど末野興産から預金の解約を
打診されていた頃、ということもあり

 

 

事実上の「情実融資ではないか」

と噂されていました。

 

 

その土地も、捜査のメスが入ると報道されるように
なった時期から、工事がストップし

 

 

コンクリートに大きく「資産かくし」

と落書きされるようになりました。

 

 

 

 

そもそもの話として、

事の始まりは、大蔵省(当時)が金融機関の

不動産向け融資を

 

「総量規制」

 

といって引き締めたところから始まりました。

 

それを受けて、富士住建、朝日住建の金利支払いがストップ。

 

続いて平成2年秋ごろには、末野興産も金利の支払いを
ストップ。

 

 

その前後に約1千億円の預金が消えて
なくなっていました。

 

後から判明したことですが、これらS資金は全て

 

 

「大阪観光開発」

 

 

「ワールドエステート」

 

 

「新町興産」

 

 

「天翔」

 

 

「四ツ橋ビルディング」

 

 

などの子会社に分散されていたとされています。

 

帳面上は、高い利息で借り入れている
事にしておいて全て赤字計上、

 

住専から借り入れたお金は返さず
子会社間を行ったり来たりしていたのです。

 

 

その木津信引き上げマネーは、結局その後
大阪厚生信用金庫、信用組合関西興銀、

その子会社である新韓銀行大阪支店
に預け替えをされていました。

 

 

そして、木津信抵当証券の詐欺事件に関連して
末野興産所有マンションの管理人室を本社に設立された
ダミー会社

 

 

「大正地所」

 

 

に捜査のメスが入り、ロールスロイス2台が発見された
と報じられたのもこの頃でした。

 

<つづく>

 

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