榊原グランドホテル、資金はイトマン事件の舞台になった信用組合

買収後、全面的改築を施してゴルフ客や企業と提携して榊原温泉郷のなかで五本の指に入るくらいまで成長しました。

 

 

83年には、今まで別のところで運営していた病院をホテルの横に移設して、医療法人・榊原みのり会病院や、老人保健施設「榊原ケアセンター」を併設しました。

 

 

しかし、兄弟間の財産争い、経営権争いが絶えず、そのうち内紛が高じて、とうとう事業そのものがバブル期に破綻してしまいました。

 

 

この時期ホテル経営は三男で専務取締役の欣功氏が握っていましたが、87年ごろからホテルとは別に、ゴルフ場やレジャーランド、会員制スポーツクラブなど新規事業に乗り出しました。

 

 

資金は、「大阪府民信用組合」が出すことになりました。

 

この大阪府民信用組合はのちにイトマン事件の舞台の一つになつたところのひとつです。

 

 

そして総額250億円の融資計画といわれたゴルフ場は95年オープン予定ですすめられました。

 

 

しかし91年イトマン事件がおこり、「大阪府民信用組合」の融資は理事長が特別背任容疑で逮捕されてしまい、開発は頓挫してしまったのです。

 

 

つづく

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榊原グランドホテル 暴力団に乗っ取られる

古来日本三大名泉の一つとされてきた三重県久居市(現在は津市と合併)の榊原温泉郷は、大阪市内近鉄上本町駅から特急で一時間余り、榊原温泉口駅を下りて山間の道を車で縫うように走って約十分のところにあります。

 

 

なかでも、名門ホテルとして知られていた「榊原グランドホテル」が負債約200億円をかかえて倒産に追い込まれたのは、94年春のことでした。

 

 

「山口組」事始め式キャンセルで脅迫

 

 

 

その倒産から遡ること数カ月前の93年暮れも押し迫った12月30日、ホテルはあるトラブルに巻き込まれていました。

 

 

あるトラブルとは、日本最大の広域暴力団「山口組」が直系組長参加のもと、翌年の全体の方針を決める儀式である「事始式」を同ホテルで開く予定になっていたのがキャンセルされ、料金支払いをめぐつてホテルのマネージャーが山口租系二次団体会長に脅かされたという事件です。

 

 

舞台になったのは、大阪市北区茶屋町にある大阪東急ホテル2階のティーラウンジで、時間は午後7時ごろ。

 

テーブルをはさんでひそやかに語り合う客、待ち合わせなのか入口に人が姿をあらわすたびに首をのばす客、フロントで宿泊の手続きをする客と、一帯にもの静かな雰囲気を突然切り裂く声が響きました。

 

 

「このあほんだら、こんな奴連れて来やがって。おまえ、そこらへんの田舎極道と一緒にしたらえらい目にあうぞ。わしは山口組でも直参扱いされとんや、わかっとんかい。お前んところのホテルの前の池に沈めたろうか」

 

驚いた客が声のする方をいっせいに振り返ると、怯えた表情の二人の男を前にして、一人の男がいまにも掴みかからんばかりに声を荒らげていました。

 

 

これは「榊原グランドホテル」 のマネージャーが事始めに出演予定だった歌手が所属していた芸能プロダクション関係者とともに、暴力団会長にキャンセル料の支払いを申し入れた席上のことでした。

 

つづく

 

 

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