導入屋

導入預金とは・・

—-預金をしようとする者が特別の金銭上の利益を得る目的で、融資を受けようとする特定の第三者と意思を通じ、金融機関がその第三者に資金を融通すること、またはその債務を保証することを条件として、その金融機関に預金をすること—-

で、その斡旋をしたり取り仕切ったりすることを生業としている者のことです。

しかし法律では導入預金そのものや媒介する行為を禁止しています。

これに違反した者、これを免れる行為をした者、そうした行為をした者が所属する金融機関については、罰則が適用され、預金等に係る不当契約の取締に関する法律の第4条では3年以下の懲役から30万円以下の罰金と定められています。

金のある人は、少しでもよい条件で利息を稼ぎ、資産を増やそうとしますし、金融機関は大口の預金がほしい・・・自分に資産はないが、多額の融資をうけたい人がいる。

そこで、導入屋が暗躍することになるのです。

その昔、京阪神土地汚職事件というのが有りました。

京阪神土地汚職事件とは

43年4月、サラリーマンや主婦から多額の住宅資金をかき集めていた京阪神土地会社社長山田正光が妻と共に行方をくらまし、事件が表面化した。

その後山田は背任罪などで逮捕され、家宅捜索で発見されたメモから福徳相互銀行、三井銀行などから不正に融資を受けていたことが明らかになった。

また、税金の査察に手心を加えて欲しいと頼まれた大阪国税局員2人も収賄で逮捕された。

兵庫県警と神戸地検は、国税局に圧力を加えた政治家がいるものとみて捜査、正示啓次郎代議士(自民、和歌山2区)を割り出し、120万円を受け取って、国税局に圧力をかけたあっせん収賄の容疑で正示代議士を取り調べ、自宅・議員会館など計6カ所を家宅捜索した結局、正示代戦士は容疑不十分で不起訴となり、半年に及ぷ捜査は終了した。

山田の黒幕、朝日興業社長米田義明も逮捕され、その米田が北海道を訪れたさい、公用車で送迎した北海道警旭川方面本部長小堀旭警視長も調べを受けた。

という事件で、京阪神土地の山田社長は資金ぐりに行き詰まり、あちこちの金融機関にわたりをつけようとしました。

その中には大手の三井銀行も入っていて、導入屋を利用しようとしたのですが、山田社長を紹介したのは米田義明であったといわれています。

兵庫県警も神戸地検も、捜査当初から米田義明を逮捕するつもりでしたが、巧妙に立ち回って京阪神土地事件ではその尻尾さえ捕ませませんでした。
山田社長が所在不明になると、米田義明は京阪神土地の整理屋として会社に乗り込んできました。

けっして警察の捜査を妨害することはせず、警察の捜査がどこへ矛先を向けてゆくかを監視するかのようです。

山田社長が導入預金をしていることを、警察は京阪神土地の倒産する前からキャッチしていました。

背任罪や贈収賄などのいろいろな関連犯罪はあると確信していましたが、逮捕時の山田社長の容疑はまず導入預金でした。
会社の一斉捜索をやり、山田社長に出頭を求め逮捕するつもりでしたが、山田は寸前に逃走してしまいました。

膨大な資料を押収したものの、一刻も早く山田社長を発見逮捕する必要がありました。

京阪神土地捜索後、数日して山田社長の行方を必死に追及していた警察は、山田社長が豊中のインターチェンジ近くのドライブインに潜んでいることをつきとめようやく逮捕することができました。

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