バブル崩壊後の地上げ・占有

不動産ビジネスに侵食した暴力団関係者の手口はバブルの膨張と崩壊に合わせて変遷を遂げてきました。

 

バブル期に脚光を浴びたのが地上げ屋で、ビル用地などを買いあさる開発業者の先兵として暗躍しました。

背景には、金余りと土地神話に乗って融資額を膨らませることを優先させた金融機関の存在がありました。

 

銀行が土地に付ける抵当権の極度額は、かつては評価額の6割~7割程度が一般的だったのですが、融資のチェック機能が緩み、担保価値を無視して貸し出すケースも多くなっていました。

こうした状況下で、開発業者が自ら手を汚さずに開発しやすい土地を得られることから、地上げ業者は重用され、銀行が融資した開発資金がそのまま現金で地上げ業者の手に渡されていきました。

 

後に銀行が抱えた回収不能の融資債権の何割かが、地上げ業者に流れ込んで使途不明となっているケースも多かったようです。

 

バブルがはじけると金融機関は一転して融資の引き上げや債権回収に奔走しました。

 

地価の下落で担保割れを起こし返済が滞って大量の不良債権が発生したためでした。

そこに目を付けたのが占有屋とよばれる人たちです。

暴力団が関わっている物件は傷ものとして価値が下がり、競売で資金回収するのが難しくなります。

賃借権を外してもらうために巨額の金がヤミ社会に渡る仕組みとなっていました。

平成6年の住宅金融専門会社問題を契機に、こうした手口は強制執行妨害や競売入札妨害として摘発されるケースが急増し、都心のオフィス街では占有者が一斉に立ち退いて無人になったビルが目立ちはじめるようになりました。

バブル崩壊後、債権回収過程での摘発件数は、平成6年が6件 7年が13件、8年が56件、9年が87件、10年が107件と年々増加し、その大部分に暴力団が関係していました。

金融機関は間接的に暴力団を潤わせていて、その一方で不良債権処理の前に大きな障害として立ちはだかっていたのです。

 

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