青い目から見た日本の不良債権問題 その2

東京都港区赤坂の飲食店街にある商業ビルを賃借人や利用状況の調査のため二人の男性が訪れ外に出ようとしたところ、ビルを占有していた暴力団員風の男たちに取り囲まれ、暴行を加えられました。


二人の日本人調査員を雇用していたのは、丸の内にオフィスを構える米系リスクマネジメント会社でした。

日本の金融機関が外資系の投資機関に不良債権を数百億、数千億円単位で一括売却するバルクセ ールが数年前から急増、同社はこうした不良債権の担保不動産物件についての調査を請け負うケースが多くなってきていました。

同社の代表者が言うには、日本特有の不動産ビジネスに根を張った「占有」や「競売妨害」などヤミ社会の住人たちの存在は、外資にとってすでに「投資リスク要因」の一つとして認知されているとのことでした。

外資と日本の銀行との間で債権の売買契約書を作成する際には、保証条項の微妙な文言をめぐって丁々発止の駆け引きが行われました。

外資側は担保不動産に暴力団は関係していない・・という保証条項を入れるよう要求するのですが、これに対して売り手の銀行側はその言葉の前に

「当方の知る限り」といった文言を追加する・・などでした。

そんな状況の中、債権の回収や管理業務を行う「サーピサー」が誕生しました。

日本では債権回収業務は弁護士の専門分野でしたが、平成11年2月にサーピサー法が施行され、民間企業にも回収の代行ができるようになりました。

そして整理回収機構を含め、さまざまな金融機関系のサービサーが認可されました。

ノンバンクなど債権回収業務のノウハウを蓄積した業者が、虎視眈々と不良債権ビジネスに新たな活路を見いだそうとし、「かつて銀行の花形は融資部門だったが、今は回収部門だ」と言われたのもこの時期です。

不動産ビジネスに侵食しては食い尽くそうとするヤミ社会と、それを許したまま不良債権処理に右往左往する金融機関。

負の遺産を解き放つために、後に「失われた十年」と呼ばれるほど膨大な月日を要しました。

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