24億円の手形が正式に返還されたのは、12月中旬のことでした。
許永中の逃亡で中断されていた約180億円の石橋産業手形詐欺事件について、東京地検特捜部は許永中が収監されたことで、2000年の年明けから捜査を再開しました。
そのキーマンの一人が事情聴取の上、自殺した元住友信託銀行役員の井手野下氏でした。
3月7日、東京地検特捜部は許永中、かつての「特捜のエース」田中弁護士、許永中の側近で会社役員の尾崎稔、田中久則両容疑者の4人を、石橋産業グループから約180億円の約束手形をだましとったとして詐欺容疑で逮捕しました。
許永中らは、この約束手形をすでに市場で売却、約400億円もの利益を手にしていたといわれていました。
大阪市北区中崎町あバブル期、「コリアタウン」建設を夢見た許永中がリクルートコスモス社などと組んで、大がかりな地上げをしたところです。
ここには訪れた石橋産業の石橋社長らがあまりの豪華さに「すごい」と目を見張った許永中の豪邸や道場がありました。
その横に、不動明王や灯寵が立ち並ぶ、小さいが豪華な神社がありました。
別名「許永中神社」と呼ばれるこの神社ができたのは96年12月。
灯籠や石碑に刻まれた寄進者の名前を見ていくと、なんと、田中森一弁護士、山段芳春会長、吉永透弁護士、井手野下秀守・元住友信託銀行役員、川島国良・カワボウリカ社長、境川尚・日本相撲協会理事長、田中英寿・JOC委員、金雲竜・IOC副会長などの名前がゾロゾロ出てきました。
石橋産業手形詐欺事件をめぐって林社長が東京地検に提出した「陳述書」に登場する役者たちが、そっくりそのままあらわれ出た形となりました。
それはまた、関西の地下経済界で暗躍してきたフィクサーとその取り巻きたちの墓碑のようでもありました。

